さて、円安がじりじりと進行していて、「輸入物価が上昇することでますますインフレが進む」「海外旅行に行けなくなっちゃう」などの論調が強まっています。現象としてはその通りで、米ドルとの金利差を主因としてドル高円安圧力が強まっています。

改めて2000年ころからの日本の政策金利を見ると、2007年2月から2008年10月の0.5%というのが最も高い金利水準でその他の期間はゼロにかなり近い金利水準です。2013年4月以降は金利自体は金融政策の目標としては見ず、量的緩和に一歩踏み込んで金融政策を行いました。よって、日本の金利水準自体はそんなに変わっていません。むしろ植田日銀総裁になってからは金融政策の正常化が進んでおり、ゼロ金利解除が行われたばかりです。

一方でアメリカのコロナ後の金利上昇のスピードはすさまじいものであり、それゆえに金利差がついてしまい円安に進んでいます。

さて、為替は金利差のみによって決定されるのでしょうか?

いえ、違います。経常収支などにも左右されます。経常収支については、経済産業省の資料が非常に分かりやすいです。

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2023/2023honbun/i2210000.html

以前は貿易摩擦などで随分世界から批判され、円高も進み、海外に工場を建設する企業が多かったです。今もまだまだその動きはあると思いますが、現在の経常収支の黒字は海外現地法人からの配当などが大きく寄与しています。

この経常収支の黒字は常に円高圧力をかける働きをしています。

さて、この経常収支の最新の数値が2024年2月8日に発表されており、20.8 兆円と大幅な黒字となっております。本来円高に動いてもおかしくない数値ですが、あまり市場にはインパクト無かったように思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA067C60W4A200C2000000

まだまだ日本には稼ぐ力、稼ぐ仕組みがあります。一方方向での円安はそのうち収束に向かう(べき)と思います。

また、為替レートは言うまでもなく市場(マーケット)で決まります。この市場価格というのはいかにも曲者です。市場参加者には色々な人が居ますが、基本的には「儲けてやろう」という人にて市場価格が決められます。それがファンダメンタルに基づいているかどうかなんてどうでも良いのです。行き過ぎた投機の動きには当局が「為替介入」という形で関与することは正当化されるべきだと思います。いつ財務省が介入に動くのか、口先介入である程度抑え込むことが出来るのか、個人的には非常に注目しています。

頑張れニッポン!(まとまりのない文章になってしまったが)