私の「読書キャンペーン」は、「塩狩峠」、「黒い雨」という不朽の名作に続き、今回は「暇と退屈の倫理学」という比較的新しい名著に挑みました。この著作も「2023年新潮の100冊」に堂々と選ばれています。著者の國分 功一郎さんは私よりも5つ年下。なかなか凄い人ですね。

私は現在55歳。そろそろ「退職後」の「暇と退屈」を考え始める時期。

「老後に楽しみをとっておくバカ」by和田秀樹さん「最強の60歳指南書」by齋藤孝さんといったHow to本も最近読みました。こういう本も悪くは無いです。この2冊では「最強の・・・」の方が良いかと思います。こういうのは思い出したころに再読すべきですね。「そうだよな」という気づきを与えてくれます。

さて本題。ネタバレは宜しくありませんから、細かなことは書けませんが、「圧倒的に面白くかつとてもとても勉強になる」本だと言えます。「東大生、京大生に最も読まれた本」とカバーに書いてあります。そうした本は得てして難しいだけで読んでいる自分に酔ってしまうような上から目線的になることがありますが、この本は丁寧です。

傍点が多く、目から鱗が落ちるような論述も多いです。ジャンルは違いますが、京極夏彦さんの本を読んでいる時のような「驚き」「感銘」を受ける本だと思います。

著名な哲学者も多く登場します。人間の生活様式の推移、人間と動物の違いを説明するための動物の生態、が説明されますが、知らなかったこと多く「そういう考え方もできるよな」と唸らされます。哲学や倫理学ってそういうアプローチするんですね。なるほど、なるほど。

倫理学は学校できっちり習ったことありませんが、倫理学をきちんと勉強した気分も味わえます。こういう本が新潮の100冊に選ばれていて納得、というか感謝。

倫理学、哲学は「教養のど真ん中」だと思います。これは今後社会がどのようになっていこうが変わらないと思います。学生が勉強するのも良いし、社会人も勿論、引退後の人間も最後まで突き詰める話だと思います。

「人間は考える葦である」なんていうフレーズを知っていることは重要だと思いますが、真に意味するところを深く知っておかないと物足りないと思います。本書にはその辺もきちんと書いてあります。読んで大正解でした。